12月議会 一般質問の内容②を報告します。
2020年度、日本の食料自給率はカロリーベースで37%と過去最低に落ち込み、食の海外依存が深まる状況です。気候危機やコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵略が重なり、世界は「第二次大戦以降、最悪の食料危機」に直面しています。
その影響をもろに受け、わが国の食料価格は過去最高レベルに高騰しています。
中国など新興国の人口増加や経済成長による食料需要の増加もあいまって日本が思うように食料を確保できない事態も生まれています。
さらに、大半が輸入に依存する肥料、飼料、燃油、タネなど資材価格も急騰し、農業生産を直撃しています。食料や資材の多くを外国に依存するわが国の危うさがいよいよ明らかになっています。
農業の担い手不足も深刻な状況です。2020年の農業の中心的な担い手(基幹的農業従事者)は136万人で20年前より104万人(43%)減少し、減少テンポは最近ほど早まっています。」
しかも、65歳以上が69.6%と5年前より4.7㌽増え、75歳以上が32%、40歳未満は4%に過ぎません。耕作放棄地が広がり、農地の減少にも拍車がかかっています。
気候危機の打開でも、コロナ危機の経験からも、自然との調和を欠いた大規模かつ工業的な農業や畜産、食料供給のあり方が問われ、人と環境にやさしい持続可能な農政への転換が国際的な課題になっています。
農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術、大規模施設などに依存する工業的農業から、農業の営みを生態系の物質循環の中に位置づけ、生物多様性と地域コミュニティを重視するアグロエコロジーへ転換する動きも広がっています。
そうした流れを背景に、政府は2021年に、2050年にはCO₂排出実質ゼロ、化学農薬の50%削減、有機農業を耕地面積の25%に拡大など"大胆な"目標を盛り込んだ「みどりの食料システム戦略」を打ち出しました。
21世紀初頭までの世界は、効率一辺倒で農業の大規模化や工業化、貿易自由化など新自由主義の農政を推進してきましたが、先進国でも、途上国でも、小規模・家族農業を大量に離農させ、農村を疲弊させました。
環境との調和を欠いた農業生産を広げ、食の安全や生物多様性を脅かし、人類社会の持続可能性さえ危うくする事態を生み出してきました。その深刻な反省から、国際社会はいま、農政の大転換に踏み出しています。
国連が、地球温暖化の防止など17項目の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ、その達成には家族農業・小規模農業の役割が欠かせないとして、国連「家族農業の10年」をスタートさせ、「農民の権利宣言」を採択しているのは、その表れです。
食料輸入大国・日本が、家族農業を中心に農業を再建し、食料の自給率を向上させることは、世界の食料問題の解決でも、地球環境の保全という点からも、国際社会への大きな貢献であり、責任でもあります。
ウクライナ危機の勃発で戦後最大の食料危機が指摘されるなか、その重要性はいっそう高まっています。
わが国の農業経営の98.5%は専業や兼業など違いはあっても大小多様な家族経営です。今後の農業の担い手政策も、この現実から出発する以外にありません。
農業生産や地域の環境、景観の保全、伝統・文化の維持など多面的機能を考えても、数多くの中小農家を存続させることこそ重要です。
そして、今回取り上げた地産地消の取り組みは、まさにこうした課題に対し、地域から解決していくもっとも身近で重要かつやりがいのある政策の一つであると考えます。
そこで以下2点について質問しました。
(1)学校給食への地場産品の導入促進について
農業を支える上で、安定した販路の拡大は必要です。そうした中で、学校給食の食材に地元の農産物を採用することは決定的に重要となります。
そこでまず、学校給食における伊勢原の地場産品の品目ごとの使用状況、費用等について質問しました。
(2)有機栽培の促進について
昨年、農林水産省が打ち出した「みどりの食料システム戦略」は、日本の農業に、温暖化による気候変動、大規模自然災害の増加、温室効果ガスの排出、労働力不足などによる生産基盤の脆弱化、食糧生産を支える肥料原料の輸入依存など、様々な課題がある中で、食料、農林水産業の生産向上と持続性の両立をイノベーションで実現するというものです。
内容のすべてに賛同するものではないですが、この中で、2025年までに有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ha)にする積極的な目標が掲げられています。
そこで、本市の有機農業の行政としての取り組みについて質問しました。
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