6月議会で行た一般質問について報告します。
令和3年(2021年)に市は約6.6億円の再開発組合に対する
債権の放棄を決定し、新たな再開発事業の
実施に取り組むこととなりました。
※上表はこの間の経過です
現在、再開発準備組合が設立され「東京建物・小田急不動産共同企業体」が事業協力者として決定。
再開発準備組合と事業協力者との間で「事業協力に関する協定書」が締結。
今年度、都市計画決定・変更に向けて手続きを進めていくとのことです。
私たち日本共産党伊勢原市会議員団は、当初から、過去の反省も踏まえ、
市施工により責任の明確化、身の丈に合った事業にしていくべきと主張してきました。
全国でも再開発事業は地域に見合わない華美なものになりがちで、
経営失敗、税金による赤字補填など、こうした例は山ほどあります。
そこで、再開発事業の目的や指標、事業費の中身、事業責任の明確化、市民意見の反映、
事業やその先のまちづくりを含めて持続可能なものとなるのか。
多額の費用に見合った投資効果が期待できるのか。
全国の再開発事業の失敗事例のように、最終的に市が赤字補填をするような状況にならないかなど、質問しました。
再開発事業の目的と成果指標は合致しているか
初めに、今回の事業の目的と成果指標について確認しました。
市からは「交通結節点として駅前広場や都市計画道路の整備を図る…」
「快適で賑わいのある都市空間の形成…※)」などと答弁があり
成果指標としては「再開発事業区域内の既存建物の除却率が令和9年度に100%の状態、事業の着手を目標値」などと答弁がありました。
しかし、目的に対する指標がこれでは、事業の成否の判断がつかず、事業完成が目的化しているのではないでしょうか。
市からは「総合計画前期基本計画5年間の目標で、今後全体の成果指標はしっかり示す」などと答弁がありました。
物価高騰などの影響で総事業費は170億円から250億円に
総事業費約250億円のうち、市負担は約62億円です。
更に、これまでの用地取得費は8億6345万円(国の補助金が1/2出る見込み)
用地取得以外の経費として3億3728万円(内、コンサルタント費用が1億1784万円)です
市はどこに責任をもつのか
これだけ多額の税金が投入される再開発事業において、市の責任はどこにあるのか聞きました。
市からは「事業推進に必要な支援を行う」「事業施行者である再開発準備組合に対して補助を行う」「市では、再開発事業の推進にあたり、伊勢原駅北口地区の交通環境の改善や賑わいの創出を図る」などと答弁がありましたが、明確な責任には言及しませんでした。
それもそのはずで、都市再開発法では、再開発組合の事業執行責任は、第一義的には再開発組合自身と規定をしており、市にはこれらの法的な権限はないためです。
市民の意見はとり入れられるのか
また、事業に対する市民意見について、市は「市民意見を再開発準備組合や事業協力者と共有することで、駅前広場などの公共施設計画等に取り入れ、伊勢原の玄関口にふさわしい駅前空間を創出する」「設計のタイミングに応じて、改めて市民の意見を聞く機会を設け、事業に反映できればと考える」など答弁があり、現時点で、反映はされておらず、このまま都市計画決定が進んでよいのかが問われます。
全国の失敗事例のような再開発事業になりかねない
更に、今後、経費の高騰が予測される中、市の負担の許容範囲について「具体的に検討していない」などと答弁。
商業施設の運営や経営責任や、商業施設の事業採算の見込み、事業の修正や撤退要件・撤退戦略などは立てるのかという質問に対しても「今後検討していく」と答えるのみでした。
何も決まっていない状況で都市計画決定により、施設の配置や規模が決まれば、それに合わせて事業を考えることとなり、事業採算が合わないものが出来てしまう懸念があります。
まとめ
伊勢原駅北口周辺の交通環境の整備は必要ですが、多額の税金が使われるにも関わらず、組合施工であるが故に、事業責任が不明確で、市民意見を取り入れることも難しい状況です。コンサルタントや事業者に事業計画を丸投げし、身の丈に合わない事業になることで、伊勢原の独自性も見えなくなりかねません。私たちは、市施工で、住民の議論を経たうえで、市民福祉の向上に資する、身の丈に合った事業にするべきと考えます。
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